大北養鶏場

大北養鶏場について聞く。

大北養鶏場を設立した経緯を教えてください。

私の父は、学校卒業後に大阪市の種鶏場に就職しました。その後、岸和田市で独立し、ひよこを育てて養鶏場に販売する育成場を経営しました。
しかし、地域の小規模畜産農家が年々減少していく状況を目の当たりにし、最終的には自ら養鶏場を設立しました。現在は私が引き継ぎ、運営しています。
※種鶏場（しゅけいじょう）：ひよこが孵化するための種卵（受精卵）を生産する農場

「夢想丸」に込められた想いや、ロゴに込められた意味について教えてください。

飼料の原料を自ら仕入れ、独自に配合することで、美味しい卵を作ることにこだわりを持っています。この“他にはない卵”を表現するために、「唯一無二」や「天下無双」といった四字熟語をイメージしました。特に「天下無双」の“無双”という言葉をロゴに取り入れたいと考え、「夢想丸」と名付けました。

鶏について聞く。

どのような方法で鶏の飼育・管理をしていますか？

大北養鶏場では、開放鶏舎でひな檀2段のゲージ飼いを採用しています。開放鶏舎は自然の光や風を取り入れながら、鶏を排せつ物から離れたカゴで飼育する方式です。この方法により、鶏の足元を清潔に保ち、個体ごとの管理が容易で、病気の早期発見も可能です。また、エサが均等に行き渡ることで、鶏同士の争いを防ぎ、衛生的で安定した環境が維持できます。私たちは、お客様に品質の高い卵を届けるため、衛生管理が徹底できるゲージ飼いを選んでいます。

飼料についてこだわっていることを教えてください。

以前は餌業者が配合した飼料を使用していましたが、成分としてタンパク質やカルシウムは把握していても、具体的に何が含まれているのか不明な部分がありました。現在では、遺伝子組み換えをしていないトウモロコシを主体とし、国産の指定産地業者から仕入れた魚粉を使うなど、飼料の配合にこだわっています。自分たちで成分をしっかり確認しているため、安心して使用でき、さらに消化に良い成分を含むことで、鶏にとって安全な飼料を提供しています。

たまごについて聞く。

採卵してから販売されるまでの過程教えてください。

卵は手作業で集卵しています。産まれた卵の表面には「クチクラ層」があり、これは雑菌の侵入を防ぎ、鮮度を保つ役割を果たしています。水洗いをすると「クチクラ層」が剝がれてしまい、鮮度が落ちるため、基本的に水洗いは行わず、洗浄が必要な卵は別に選別しています。直売所では、事前にパック詰めをせず、注文を受けてからパック詰めを行っています。

「夢想丸」使ったおすすめの卵料理は何ですか？

卵の美味しさを一番感じられるのは、少し温かい料理です。特におすすめなのは、半熟のゆで卵や茶わん蒸しです。
また、「夢想丸」はコクがあるため、出し巻き卵にもよく合うとお客様からも好評です。

大北養鶏場の取り組みについて聞く。

地域の取り組みや、企業と連携して行っていることがあれば教えてください。

大北養鶏場では、鶏糞を乾燥させた肥料を販売しています。これを家庭菜園を楽しむ方々や地域の農家が購入し、畑の肥料として活用されています。良質な餌を食べた鶏からの鶏糞が再び土に還り、農作物を育てる肥料となることで、命の循環が実現しています。また、地域のパン屋さんからは、商品にならなかったパンをいただき、それを鶏の餌として利用しています。こうして、地域全体で命や食材を無駄なく循環させる取り組みを行っています。

大北養鶏場の思いを聞く。

大北養鶏場が大切にしていることを教えてください。

大阪の畜産業は厳しい状況が続き、急速に縮小しています。その中で、大北養鶏場は規模の拡大を目指すのではなく、お客様に喜んでいただけるよう、一つ一つの仕事を大切に取り組んでいきたいと考えています。また、大量生産や急速な販売増加をするのではなく、私たちはたまごを一人一人のお客様の手元に届けることを大切にしています。